走り蕎麦碧きを啜る心地して



 大川の船の音きく走り蕎麦   藤井昌治

 よろこびて暖簾はためく走り蕎麦 林翔

 走り蕎麦出汁の香りも殊の外  アロマ

 アルプスの冷迫り来る走り蕎麦  高見岳子

 乗換の駅で立ち喰ひ走り蕎麦 久保恵子

 喉ごしで味はへといふ走り蕎麦  鷹羽狩行

 格子風気儘に通し走り蕎麦   鈴鹿仁

 走り蕎麦田舎にもある予約席 松田泰子

 走り蕎麦山の香ほのとまとひけり 持田信子

 寄席の後小路老舗の走り蕎麦 鈴木漱玉

 吟行や昼餉に啜る走り蕎麦   池谷鹿次

 走り蕎麦鴨南蛮の味わいに