連載:呟き

黒い爪

以前、お付き合いのあったお出掛け友さんに纏わる不思議な話です。
その方とは、月一ペースで、美術館、博物館、公園散策など、お出掛けしていました。
双方話し下手なのですが、不思議と話さなくとも自然体で居られる、言わばソウルメイトのような関係でした。
午前中に美術展など観終わってお昼を食べ、時間が在るときなど
その方の家に寄り、お茶などするのですが、在るときやおら左足の靴下を脱ぎ
「ねえ、これ見てよ」と、足の先を指さすのでした。
見た途端、「おー、なんだこれは~」と声が出てしまいました。
親指の爪全体が、真っ黒に変色しているのです。
「昨日まで