春か夢かに

春か夢かに
かってそなたにあいしことあり
今うち連れて 秋を歩めば
我が手をとりて そなた泣くなり

空ゆく雲を 赤き紅葉を
そなたは泣くや さにあらずさに
かってそなたは幸いなりき
春か夢かに

一昨日紅葉の美しい古刹をめぐりながら思い出しました。

うろ覚えですけど、大好きな佐藤春夫の詩です。
佐藤春夫は、谷崎潤一郎の奥様千代子に恋慕し、壮絶な詩
「あるとき人に与えて」という心のうちの苦しさを書いています。
20代のころ、恋とは全く無縁な年頃のときこんな詩を読んで、何となく恋するって苦しいものなんだなってボンヤリ思ってい