泣かせる純愛ドラマ「写楽とお喜瀬」(NHK出版 吉川永青 著)

 数日前、歴史講座の講義原稿として蔦屋重三郎のことを調べていた。

 写楽は蔦屋の下で江戸中期(文化文政時代)に活躍した浮世絵師で、わずか10ヶ月の間に活躍し、突然に姿を消した(活動していた時期にも、その姿を見たものはほとんどいない)謎の絵師である。

 だから、写楽の絵を出版した蔦屋重三郎が「写楽の正体」ではないかという説も根強い。ただ、今では徳島藩(蜂須賀家)のお抱えの能役者斎藤十郎兵衛(宝暦13年(1763年)~ 文政3年(1820年)とする説が有力となってきている。十郎兵衛の実在と墓も分かっている。ただ、十郎兵衛の身分はごく低く、ワキツレ