蕗の薹からり天麩羅塩振って



 土こぼし香をこぼしけり蕗の薹  稲畑汀子

 小包は伊吹の里の蕗の薹 勝野薫

 一品は天ぷらにして蕗の薹  野沢しの武

 日溜りに解れてゐたり蕗の薹 垂水イツ子

 蕗の薹さ碧柔らか春を知る  アロマ

 朝市のしづけき活気蕗の薹  朝妻力

 小流の光ゆらゆら蕗の薹 檀原さち子

 蕗味噌の味わい豊か食卓に  アロマ

 手に置きて野の湿りある蕗の薹  山田由利枝

 蕗の薹一つに迷ふ夕厨 大房帝子

 土割つて拝むかたちに蕗の薹 久島洋子

 羽音には聞き耳を立て蕗の薹 今瀬剛一

 黒土