春の雪窓の風景変わりゆく



 春の雪都心の音を吸ひ込みて 稲畑廣太郎

 すぐ解けし霰交りの春の雪   川崎不坐

 春の雪日陰に多少溶け残る  アロマ

 裲襠の亀甲菱や春の雪 関根洋子

 春の雪夫に粥を炊きをれば   宇利和代

 丘幾重生絹すずし仕立てに春の雪 柴田近江

 採り残す柚子にうつすら春の雪  青木政江

 春の雪窓の風景変わりゆく  アロマ

 さはさはと竹にあかるき春の雪  島田浩美

 瑠璃光寺塔に降り来る春の雪 上原光代

 弘法の温酒たまはる春の雪   長沼冨久子

 投函を夫にたのみし春の雪