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「私たちは、ある国に住むのではない。ある国語に住むのだ。祖国とは、国語である。」
以前の文章で引用したエミール・ミシェル・シオランの言葉だが、この言葉は国家という政治的存在への本質的洞察だが、同時に人間の存在への洞察でもある。
「私たちは、ある国に住むのではない。自分の言葉の中に住むのだ。言葉とは自分である」と言い換えてもよさそうである。つまり、自分は言葉の中に存在する。
更に言えば言葉というのは単なる記号ではない。例えば掲題の「美」を取り上げれば、その一語で人間の感情や感性さらには思想まで含意するのだ。
人間性心理学のアブ