「春の思い出」青森と阿蘇にて

 青森と言っても、昭和30年というとんでもない昔のことです。昭和20年、1945年に終戦となった時からまだ十年しかたっていない時なんですが、父の転勤でなんと鹿児島から、粉雪の舞う青森に住み始めました。私は十歳。

 当時はやっとラジオがあるくらい、標準語を聞き慣れることもなく育ち、鹿児島弁と青森弁、という、お互いに外国語かというくらいの学校生活が始まりました。たちまち気温が下がり、通学路はツルツル、思わず級友にしがみついてきゃーきゃー言いました。でもそのおかげで、仲良くなれたのです。
 雪が降ると、道路にうず高く積もり、そこから雪の階段を降りて、ポストに