青時雨仄か色なす宵に入る



 あたたかや和菓子の銘は絹の里   長岡千波

 屋敷林の奥あたたかし三輪車 谷口みちる

 庭先に鍋釜干されあたたかし 久保田妙

 川なりに歩みて大地あたたかし  清水裕子

 野辺のもの旅に満たしてあたたかし 前田貴美子

 あたたかいコロッケいっぱい作ったよ 塩路彩奈

 銭洗ふ風より水のあたたかき 川村亘子

 あたたかし空穂に吾子を詠める歌 仙田孝子

 神橋の朱の明るみを春時雨   岸はじめ

 日本画の絵の具のやうな春時雨   藤井啓子

 東山少し隠して春時雨 赤井よしを

 春しぐれ若狭に瞽女の径のこり  安達実生子

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