『虹を渡った彼』

昔の庭は 大賑わいでした。

ご近所さんたちの 社交場として大活躍でした。

その井戸端会議には 犬、猫、鶏さえも参加して
子供心は ときめきました。

とりわけ我が家には 評判者 がいました。

いたって小柄ながらエリート中のエリートです。

まるで庭の管理人の如くに散歩していました。

おもむろに足を胸まで上げ周りを見渡して 再び
地に降ろす姿が好きでした。

小1の入学祝いの夕方 彼は私たちとテーブルを
一緒にしました。

「立派な軍鶏じゃったのお」と父が言いました。

哀しいかな彼は美味しかったです。

きっと涙の塩味も加わったからと思います。