電話が鳴った。
「ヨナさんですか。貴女の作品を拝見しました。素晴らしい作品を出版されましたね。あまりに素晴らしいので、当社として、作品の宣伝売却のお手伝いをさせて頂きたいです」
歯の浮くようなお世辞をたらたら述べて、実際何処で入手したのか分からないが、ヨナのエッセイ集の一部を読み上げて、どこがいいとか、感動したとかを言い始めた。
エッセイ集「心の風景画」の1集目を出版して4年目頃の話である。
その、未熟で舌足らずの部分の多いエッセイ集だと自覚はしていても、褒めちぎられると悪い気がしない。
「絶対大手新聞社に掲載すれば、売れますよ。是非当社に・・・」