連載:花万朶

祖母の思い出


私が物心着く頃には、祖母は耳が聞こえなくなっていました。

鼓膜を損傷して中途難聴者になっていたのです。

私はおばあちゃんっ子で、妹が生まれてからはずっと祖母と一緒に寝ていました。

祖母はなんでも喋れて意思表示はできるのですが、こちらからの問いかけはなかなか理解できないようでした。

私が祖母に、大きく口を開けてゆっくり話すと理解して質問に答えてくれました。

祖母の娘である叔母の家族やその子どもたちが近所に住んでいましたが、祖母と話すのが苦手で、いつも私が通訳のように間に入っていました。

叔母たちは祖母に夕餉の食べ物などを作って持って来てくれる