種物にはたきを掛けて宿場町 　朝妻力 　店ぢゆうが抽斗ばかり種物屋　　 疋田英子　 　冬瓜の大きが土間に種物屋　　原田しずえ 　茶の盆に布巾掛けあり種物屋 中根美保 　心地よき川風通ふ種物屋 吉村幸子 　種物屋薄暗くて土間広し　　アロマ 　風光る橋の袂の種物屋 田村すゝむ 　勘定は今も算盤種物屋 小林奈穂 　奥の間に海が揺れをり種物屋 伊藤白潮 　種物のあまりの軽さ取り落…

　長岡のモダン茶店の五月かな 　久保田万太郎 流寓抄以後 　青き馬憩ひ立つ水五月来ぬ 　木下夕爾 　麦は穂にいでて五月の空褪せぬ 　瀧春一 菜園 　黄河よりいざよふ雲の五月かな　 松瀬青々 　遊園地五月の空に観覧車　　アロマ 　鳥籠のブランコ揺する風五月 　満田春日 　そよ風に身を任せ何処まで散歩　アロマ 　風がめくる教科書見えるよ五月の海 　磯貝碧蹄館 　夕暮れの五月の香り草…

　あかつきの雪山の上星黄なり 　長谷川かな女 雨 月 　あめつちのいましづかなり雪の嶺 　山口波津女 良人 　ある日遠くある日は近く一雪嶺 　本郷昭雄 　いちご咲く雪嶺天にねむれども 　有働亨 汐路 　いつ見ても婆に雪山雪降りをり 　中山純子 　いぬふぐり雪山は雲湧き立たせ 　斎木直治 　いや白く雪嶺媚びぬ彼岸前 　相馬遷子 山河 　うしろより雪嶺匂ふ夕茜 　大石昌代 『清見潟』 …