忘れもの 高田敏子 詩 入道雲にのって 夏休みはいってしまった 「サヨナラ」のかわりに 素晴らしい夕立をふりまいて けさ 空はまっさお 木々の葉の一枚一枚が あたらしい光とあいさつをかわしている だがキミ!夏休みよ もう一度 もどってこないかな 忘れものをとりにさ 迷子のセミ さびしそうな麦わら帽子 それから ぼくの耳に くっついて離れない波の音
夏空の一滴蒼く氷河透く 仙田洋子 夏空があつまつてこの嬰児の瞳 平井照敏 夏空が秋空となる刻に音 鳴戸奈菜 刈り込みのワシントン椰子夏空へ 清家美保子 空き罐がいつか見ていた夏の空 津沢マサ子 夏天ちかく放ち飼はれし馬の艶 大野林火 薬師寺の新しき塔夏の空 星野 椿 瑠璃鳴けば栗鼠が顔出す夏の空 飯田龍太 夏空に紅懸かる暑熱の海辺 アロマ …