「蒲団」の日記一覧

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彼女の官能的な香り

言葉による芸術、文学は、人間の「知」に直接語りかける。その文学は、19世紀末に始まった文学運動である自然主義が、重要な起点になっているといえる。なぜなら、現代の文学作品はほぼ自然主義の考え方を踏襲しているからだ。 エミール・ゾラにより定義された学説の下、19世紀末、フランスを中心に起こった文学運動である自然主義は、自然科学を下に、「真実」を描くために、あらゆる美化を否定する考え方なのだ。 ゾラの…

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104、「蒲団」(田山花袋著)は明治青年の恋愛描く

「蒲団・一兵卒」 田山花袋著 岩波文庫 1930年7月15日発行 ー「36にもなって、子供も3人あって」  かれは名を竹中時雄といった。  かれの著作の崇拝者で、名を横山芳子という女から崇拝の情を以て充たされた1通の手紙。年は19だそうだ。  芳子は上京の途次、恋人と相携えて京都嵯峨に遊んだ。  芳子の恋人は同志社の学生、田中秀夫、年21.  男から熱烈な手紙が来ていた。  時雄は悶えざるを得な…