もてなしは鳴門の渦と初夏の風 　稲畑廣太郎 　札幌の晩夏の風の強き日に　 稲畑汀子 　夏の風朝の海岸吹き荒ぶ　　アロマ 　アスファルト晩夏の風に蕩けをり 稲畑廣太郎 　雨止みて庭に立夏の風渡る 　稲畑汀子 　青一色のゴッホの「アザミ」初夏の風 金山雅江 　はつ夏の風は浪漫波飛沫 牛島晃江 　蔓の先晩夏の風に縋りをり　 佐野ときは 　早朝の…

　ラグビーに青春の影踏みあへり 　山岡 季郷 　リスボンの青春 海泡石になる夕暮 　伊丹公子 山珊瑚 　朝焼けに青春の時めきほのと　　アロマ 　沖にある青春ヨット屯ろして　 津田清子 　汚れた皿運ぶ青春 訛は消え　 伊丹三樹彦 　黄楊の花青春は貧とありしかな 　金子明彦 　菊坂は母の青春散紅葉　 村松 堅 　旧青春また入学の頃に逢ふ 　山口誓子 　鰯雲わが青春の万華鏡 　鷹羽…

　新涼や英語の中の朝の珈琲 　鈴木鷹夫 千年 　真白きテーブルクロス冷し珈琲　 岡松 あいこ 　晴れし香のコーヒー遠山ほど霞み　 野澤節子 黄 炎 　清明やざわつく立飲み珈琲店 　能城檀 　青春の苦き珈琲ゼリー食む 　成田郁子 　女給笑ひ皿鳴りコーヒー湯気立てゝ 　高浜虚子 　真白きテーブルクロス冷し珈琲　 岡松 あいこ 　珈琲はブラック生き過ぎたかも知れぬ　 立岩利夫 　珈琲は…

　太陽系一惑星の蝉時雨 　村松紅花 　退屈な鉛筆削り蝉時雨 　増田河郎子 　大伽藍がらんどうなり蝉時雨　 北見さとる 　瀧音の息づきのひまや蝉時雨 　芝不器男 　池の上にも及び来し蝉時雨 　大橋はじめ 　庭にもう始まつてゐる蝉時雨 　井口雪嶺 　庭下駄に柾目のとほり蝉時雨 　片山由美子 　島へ一歩踏むくらくらと蝉時雨　 鈴木鷹夫 大津絵 　日の高き巌流島や蝉時雨　 高萩弘道 　…