蒸し暑い一日　　夕方にややほっとする 　春山をいただくバスの馳せて来し 　中村汀女 　秋雨の川端柳バスにふれ 　京極杞陽 　秋祭バスやりすごす小さき山車 　水谷田鶴子 　春服やバスの車体の漫画文字　 小高沙羅 　幼き日バスで街へ買い物に　アロマ 　湯治場のやつと来るバス立葵 　山川よしみ 　筒鳥や定刻に来る山のバス 　坂本登美子 　奈良市内循環バスに乗りて春 　右城暮石…

　バス遠く薬師寺裏のれんげ雨(薬師寺付近二句)　 河野南畦 『風の岬』 　バスの旅盛夏の下北くんだりまで 　高澤良一 随笑 　バスに乗る桜菜の花一気に咲いて　　アロマ 　バスを降り一人一人の夏の終り　 中山純子 　踏切で車掌降りバス誘導す　アロマ 　バス傾しぎ林檎の花に風の渦 　畑中余枝子 　バスの日々此処にとまれば木槿咲く　 京極杞陽 　バス降りてみな芒野に沈みけり　 村松知津…

　貨車数十ゆつくり消ゆる良夜かな 　平野無石 　貨車連結さる雪嶺の大盤石　 齋藤愼爾 　貨車黝くつながれて蝌蚪泳ぎけり　 萩原麦草 麦嵐 　快速はあわれなりけり蕎麦の花 　阿部完市 軽のやまめ 　海沿ひを走る鈍行波の花 　斉藤葉子 　海霧の縞日漁港路線に貨車あらはる　 石原八束 空の渚 　寒き夜の貨車駐らむとしつつあり 　山口誓子 　寒牡丹貨車が地響きしてまぶし　 加藤知世子 黄 …

　かまくらの肩まろやかに雪積る 　館岡沙緻 　よき眠りなりし雪積む二重窓 　有働亨 汐路 　雪積もる外に出ずして幾日も　　アロマ 　奥山に雪積るらし白湯うまし 　村越化石 　鎌倉に春の雪積む一夜かな 　松本たかし 　湖に向く雪積むポーチ閉ざしあり 　高木晴子 花 季 　初手水邸内は雪積んで靄 　京極杞陽 　雪詠みて雪積む句碑でありにけり 　藤浦昭代 　雪積まぬひと処あり藪柑子 　…