「奥田英朗」の日記一覧

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無敵のラジオ体操第2

 奥田英朗の「コメンテーター」を読了した。著者は直木賞作家で、ミステリー系とユーモア系の両系統の作品を書き分けている。本書は「精神科医・伊良部」シリーズの十七年振りの新作である。  「コメンテーター」:中央テレビのワイドショーの直近の視聴率は1.6%であり、スタッフの畑山圭介はプロデューサーの宮下に叱責される。宮下はテコ入れのために、コメンテーターに美人精神科医を探して来いと畑山に命じる。出身…

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再び起こった連続殺人事件

 奥田英朗の「リバー」を読了した。著者は直木賞作家で、ミステリー系とユーモア系の両系統の作品を書き分けている。本書は、渡良瀬川の河川敷で、10年前に起こった未解決の連続女性殺人事件と酷似した手口で、再び起こった連続殺人事件に挑む刑事、報道関係者、そして過去の事件の被害者の家族達の姿を描いたミステリーである。  2014年5月8日、群馬県桐生市を流れる渡良瀬川の河川敷で、全裸の若い女性の絞殺死体…

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「ガール」奥田英朗

20代後半から30代前半になると、女性は仕事や結婚や出産をどうするかと悩む人もいるのだろう。 民間の会社で、総合職という男性と同等に渡り合う職種であれば尚更だ。 これはそんな女性達のお話 奥田さんの本は何冊か読んだことがあって好きな作家さんですが、「ガール」を通して、どうしてこんなに女心がわかるのだろうと思いました。まるで桐谷美雨さんみたいな感じです。(私は桐谷さんも大好きです) …

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防護服の代替品

 奥田英朗の「コロナと潜水服」を読了した。著者は直木賞作家で、ミステリー系とユーモア系の両系統の作品を書き分けている。本書は、どちらかと言えばユーモア系で少しオカルト風味の、著者の最近の単行本未収録作品を集めた作品集である。  「海の家」:四十九歳の小説家の村上浩二は、二歳年上の妻の洋子の不倫を切っ掛けに、葉山町の一色海岸にある、解体が決まっている築九十年の古民家をひと夏借り、家族と別居すること…

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著者別インデックス:国内(奥田英朗)

1.B型陳情団 (1990.09) 2.おれに訊くんじゃない 近そうで遠い男と女のハナシ (1992.08) 3.ウランバーナの森 (1997.08) 4.最悪 (1999.02) 5.邪魔 (2001.04) 6.東京物語 (2001.10) 7.イン・ザ・プール (2002.05) 8.延長戦に入りました (2002.08) 9.マドンナ (2002.10) 10.野球の国 (2003.03…

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インド金貨の価値

 奥田英朗の「罪の轍」を読了した。著者は直木賞作家で、ミステリー系とユーモア系の両系統の作品を書き分けている。本書は、戦後最大の誘拐事件と言われた、「吉展ちゃん誘拐殺人事件」をモティーフとした警察小説である。ストーリーは主として、誘拐犯の宇野寛治、刑事の落合昌夫、山谷の簡易宿泊所の娘で朝鮮から日本に帰化した町井ミキ子の三人の視点で語られる。  物語の舞台は、東京オリンピックを目前に控えた昭和38…

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ヴァラエティ

 奥田英朗の「ヴァラエティ」を読了した。著者は直木賞作家で、ミステリー系とユーモア系の両系統の作品を書き分けている。本書は、著者の単行本未収録作品を集めた作品集で、短編、ショートショート、対談が収録されている。  「おれは社長だ!」:38歳の中井和宏は、準大手の広告代理店を脱サラして自分の会社を立ち上げる。妻はハラハラして見守るが、信頼していた5歳年下の後輩は自分について来ず、先ず落胆する。それ…

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過疎の町の愉しみ

 奥田英朗の「向田理髪店」を読了した。著者は直木賞作家で、ミステリー系とユーモア系の両系統の作品を書き分けている。本書は夕張市をモデルにしたと思われる北海道の架空の町苫沢町を舞台とした、6篇からなる短編集である。  本書の語り手は、苫沢に二軒しかない理髪店の一つ、向田理髪店の店長で53歳の向田康彦である。康彦は28歳の時に帰郷し、体を壊した父親の後を継いでいる。康彦のその後は、炭鉱がなくなり、ハ…

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育ての親の温かさ

奥田英朗の「我が家のヒミツ」を読了した。著者は直木賞作家で、ミステリー系とユーモア系の両系統の作品を書き分けている。本書はユーモア系の家シリーズの第三作で、6篇からなる短編集である。  「虫歯とピアニスト」:子供のいない敦美は、知り合いの伝手でこじんまりとした歯科医院に勤務しているが、その歯科医院に、以前からファンだったピアニストの大西文雄が患者としてやって来る。心の中は嬉しさいっぱいであるが、…

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中国人の強さ

奥田英朗の「ナオミとカナコ」を読了した。著者は直木賞作家で、ミステリー系の作品が多い。本書では、夫のDVにより追い詰められた加奈子を救うため、直美と加奈子が行った「完全犯罪」とその破綻が描かれる。  本書の主人公の小田直美と服部加奈子は大学の同級生で、30歳を目前とした今も親友として付き合っている。直美は大学時代に学芸員の資格を取得し、美術展の仕事をしたくて有名百貨店に就職したのだが、希望部署に…