椎名誠の「シルクロード・楼蘭探検隊」を読了した。著者は作家、エッセイスト、写真家、映画監督であり、多彩な活動で知られている。本書は著者が1980年代に訪れた中国の思い出を綴ったものであり、付録としてメキシコのプロレスリングを取材した思い出も語られている。なお、本書の内容は1980年代の中国のことであり、現在の視点からは資料としての価値はほとんど存在しない。 本書の第一章は1980年の敦煌旅…
安部龍太郎の「シルクロード-仏の道をゆく-」を読了した。著者は直木賞作家で、歴史・時代小説をテリトリーとしている。本書は、シルクロードに関する取材紀行であり、第一部の「河西回廊」では古の唐の都であった長安(現在は西安)から敦煌まで、第二部の「天山南路」ではウルムチから中国とパキスタンとの国境に近いクシュクルガンを経て西安に戻るまでの旅の情景が、豊富な写真と共に綴られている。 著者は長年、遣唐…
アーソン・グレブスト著、河在竜 高演義共訳の「悲劇の朝鮮−スウェーデン人ジャーナリストが目撃した李朝最期の真実−」を読了した。著者はスウェーデン人ジャーナリストで、日露戦争の取材のため、1904年(明治37年)12月に来日したが、日本政府が取材を許可しなかったため、商人に偽装して末期の李氏朝鮮(当時の国名は大韓帝国)に潜入した。本書は、朝鮮における著者の見聞を記し、1912年(明治45年/大正元…