カズオ・イシグロ著「クララとお日さま」(土屋政雄訳2021年3月早川書房刊)読了。 あらすじや紹介が見つけられなかったので次の評を引用する。 ◆情念の世界に差す光 [評]阿部公彦(東京大教授) 科学技術の発達がもたらす奇妙な未来。本作が描くのはバラ色からはほど遠い世界だが、作品には穏やかで繊細な時間が流れる。音楽を聴くようにその呼吸に耳を傾けながら読みたい。 主人公は太陽光で動くAIロボ…
カズオ・イシグロの「クララとお日さま」を読了した。著者は、長崎県出身で、五歳でイギリスに移住した後帰化した日系イギリス人であり、2017年にノーベル文学賞を受賞している。なお、著者は著作は英語で行っている。本書は、ノーベル文学賞受賞後の第一作で、人工知能を搭載したロボットのクララと病弱の少女ジョジーの心の交流を描いた、近未来を舞台としたファンタジー風の作品である。 クララはお日さまの光を栄養…
22章まで来て、ようやくこの小説の全容が明らかにされた。閉鎖された施設へールシャムとそこに訪ねてくる謎の女性―通称“マダム”。マダムは、この施設と、外の世界を結ぶ接点だった。そして、施設の責任者だったエミリ先生との再会。そこで語られた全容。 “提供”と“介護人”という言葉が、この小説の最初に出てきたが、意味がよく分からなかった。介護人は、なんとなく想定できたが、“提供”は、この小説の謎解きの原動…
今日のBSシネマは、「日の名残り」でした。原作は、ノーベル文学賞で一躍有名になったカズオ・イシグロ。しかし、映画は、そのずっと前、1993年制作です。イギリス映画。 大富豪の執事がアンソニー・ホプキンス。(1991年、アカデミー主演男優賞) メイド頭が エマ・トンプソン。(1992年、アカデミー主演女優賞) 大邸宅のあるじは、政治や外交にも首を突っ込み、使用人たちの苦労も大変なものです。それ…
2017年・ノーベル文学賞を受賞されました。 長崎生まれで6歳の時に両親と渡英されています。 この小説は。臓器提供を目的としたクローン人間の物語です。 世界各国で「ヒトクローン」規制法整備が行われています。 1990年代末のイギリスで主人公のキャッシーの回想として語られます。(優秀な介護人) キャシーが世話している人間は、臓器提供者でした。 ある施設で生まれ育った親友。トミーやルースも提…