ニュースで森村誠一さんが亡くなられたことを知った。 だいぶ前に日記に書いたかもしれないが、学生時代の英語講師が「僕の同級生に森村誠一がいるんだよ」「文学サークルも一緒だったんだよね」「彼はホテルマンになって、僕は英語講師」「今は彼は売れっ子作家…僕はね~…」などとやや自虐的に話していた。 それまで、私は作品を読んだことがなかったが、急に興味がでてきて、本屋さんに寄ったことを思いだす。 通学…
森村誠一の「悪道−西国謀反−」を読了した。本書は、第45回吉川栄治賞を受賞した「悪道」の続編であり、人物の設定その他は全て前作のものを踏襲している。 伊賀忍者の末裔で、公儀隠密の流英次郎は、御駕籠口へ召し出され、将軍綱吉(実は影武者)から直々の内密御用を命ぜられる。その内容は、当主が三代に渡って若死にした譜代大名で西国の大藩である浅尾藩の変事の真相を探るとともに、現藩主で18歳の浅尾宗義を保護…
森村誠一の「悪道」を読了した。本書は、講談社百周年記念事業の一環として、著者が10年ぶりに書き下ろした時代小説とのことである。 本書の舞台は元禄時代、五代将軍綱吉の治世下である。側用人柳沢吉保の屋敷に御成りをし、能を舞っていた綱吉が急死する。自分達の権勢が失われることを恐れた吉保と怪僧隆光(生類憐れみの令の発案者)は、綱吉の死を隠し、影(武者)を身代りに立てる。検死した典医の山瀬養安を密殺し、…