「本懐」の日記一覧

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仇討ちの真意

 上田秀人の「本懐」を読了した。著者は、歯科医を開業する傍ら時代小説を書いている、兼業の小説家である。本書は、「切腹」をモチーフとした六篇の時代小説の短編を収録した短編集である。  「親心腹-大石内蔵助良雄-」:大石内蔵助は、お預けとなっていた肥後熊本藩細川家下屋敷で、五代将軍綱吉の使者から切腹を命じられる。切腹の場に臨んだ内蔵助に、細川家世話役肝煎りの堀内伝右衛門が揮毫と最後の言葉を求めるが、…