数年前の秋の日に 　山陰の須佐に 　ホルンフェルス大断層を 　見に行った 　駅から車で５分少々 　母と妹と共に 　車を降りる 　少し里山を下った先の 　海際にブルーグレーの 　縞模様の断層が優雅に 　聳えていた 　蒼い海を背に 　やや傾いだ灰白色と 　青味がかった太い縞の断層が 　実に美しい 　母は先頭切ってどんどん歩いて行く 　ツワブキの黄の花が満開で 　辺りは十月末の明るい爽…

　春疾風吹つ飛んで来る一老女 　山田みづえ 　少女も老女も似合って 薔薇園の朝のひかり　 伊丹公子 アーギライト 　桟橋で釣りする老女夏の夕　 泉利喜郎 　酔つているのに酔わないという初夏老女 　金子兜太 　雪に漉いて老女の肌のごとき紙 　大野林火 　薄暑なり元気な老女買い物へ　　　アロマ 　土筆摘む童男老女山の端に　 飯田龍太 　冬菊のごとき老女の日向ぼこ　 小島千架子 …

　　　「アロマ」の句 　黄葉の武蔵野樹林晴れやかに 　団栗と椎の実落ち葉の上に 　はじかみの薄紅添える鰆かな 　蓮の花開き過ぎたる様子にて 　午後の森カナカナ鳴いて西日差す 　紫陽花をスケッチして薄紫に 　柳川にアメリカデイゴ咲く季節 　萩の宿湾を左右に見降ろして 　断層を見る浜に石蕗盛り 　海を背に断層傾ぎ麗しく 　満開の白木蓮と辛夷の樹 　　「川端茅舎」の句 …