「岩波新書」の日記一覧

会員以外にも公開

柿木伸之『ヴァルター・ベンヤミン:闇を歩く批評』岩波新書No.1797、262頁、 読了。

 羽仁五郎がベンヤミンを論ずることは無かったのだろうか。本書第5章を読んでいるときにそう思った。本書で何度も引証されるベンヤミン「歴史の概念について」の胆にある「闘う被抑圧階級」が解放主体認識に触れられているからだ。「歴史を書くとは、歴史を引用すること」(p.204)という。それは、「神話的な物語を『逆なで』し、破局の犠牲になった者たちの記憶を、歴史主義的に物語られる因果の連鎖から解放して救い出…