醴に散かゝりけり桃の花　 許六 　里の名や哥にもよまず桃の花 　許六 　重箱や一輪添し桃の花 　千川 　野の草も穂をはらみけり桃の花 　野紅 　金柑はまだ盛なり桃の花　 介我 　鍬さげてしかりに出るや桃の花 　凉菟 　土までも能登はやさしや涅槃絵図 　中山純子 　南都絵図うすれうすれし昼寝覚 　山本洋子 　夜ふかく月神の絵図焚くけむり 　桂樟蹊子 　養老の野鳥絵図見る木下闇…

　夜桜に寄せオートバイまだ熱し　 奥坂まや 　夜桜に客を送りて女中達　 松藤夏山 　夜ざくらヘハモニカ絃歌とは別に 　木村蕪城 寒泉 　夜桜となる灯ともりぬ一斉に　 佐々木遡舟 　九分咲きの夜桜に灯をあびせたる 　京極杞陽 　夜桜ににぎはふ恋の神籤かな　 大橋櫻坡子 雨月 　夕ざくら髪くろぐろと洗ひ終ふ　 鷲谷七菜子(1923-) 　夕心夕櫻にぞ誘はるる 　相生垣瓜人 　夕桜あ…