森の中あけび色した秋の風 　安部里子 　ほろほろと何かこぼるる秋の風 　石川星水女 　空仰ぐためのきざはし秋の風 稲畑汀子 　鍋で焼く秋刀魚が美味し秋の風　　アロマ 　野には野の山には山の秋の風 藤岡紫水 　いま欲しきものに詩才と秋の風 　岩岡中正 　秋の街多面カットの腕輪して　　アロマ 　やはらかきもの見えてきし秋の風 仲まゆみ 　醤…

　帯しめてくつろぐ一日柿の花　 鷹羽狩行 　音のして柿の花散る石たたみ　 東芳子 　雌花しか咲かず富有柿の花　　アロマ 　木洩日のさして旧家の柿の花 　川崎静園 　柿の花踏むやつぷつぷ夕暮れる　 津波古江津子 　井戸蓋に音たて落つる柿の花 　前阪洋子 　通学の頃は省線柿の花 　田中藤穂 　見逃がさじ車窓に咲きし柿の花　 岡田愛子 　よく見れば若葉のかげの柿の…

　　午前中に外出　風が吹けば心地よい曇り空 　塩田の秋はにはかに星青き 　佐野まもる 海郷 　月はまろく秋はこよひや真半分　 椎本才麿 　公孫樹の落ち葉散り敷いてこれぞ秋　　アロマ 　秋はゆふぐれ対岸はニュー・ヨーク　 遠山陽子 　二人して秋の上野の博物館　　アロマ 　食足りて寝足りてふかみゆく秋ぞ 　杉山 岳陽 　 鯉も老いこの寺も古り幾秋ぞ　 高濱年尾 年尾句集 　塩負…

　秋深み空澄み渡る蒼さかな　アロマ 　秋到り蛇口の水の心地良さ　　アロマ 　食足りて寝足りてふかみゆく秋ぞ 　杉山 岳陽 　鯉も老いこの寺も古り幾秋ぞ　 高濱年尾 年尾句集 　それとなく秋は来にけりポタァジュに 　高澤良一　随笑 　はうはう秋の風吹いて赤土山 　中塚一碧樓 　ひややかに秋は関取児をつれて 　飯田蛇笏 雪峡 　まつすぐの道に佇み秋は来ず　 和田悟朗 　みちのくの…