「呉勝浩」の日記一覧

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天賦の才能

 呉勝浩の「Q」を読了した。著者はミステリー作家で、「道徳の時間」で2015年第61回江戸川乱歩賞を受賞して作家デビューしている。本書は、天才的なダンサーのキュウとその二人の異母姉達の愛情、および、彼に魅せられて彼を世界的なカリスマにしようとする人々、また、それを阻止しようとする人々の葛藤を描いたミステリーである。  本書は三部構成であり、主としてハチこと町谷亜八(あや)の視点で語られる。二十四…

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三億円を手に入れるためには

 呉勝浩の「素敵な圧迫」を読了した。著者はミステリー作家で、「道徳の時間」で2015年第61回江戸川乱歩賞を受賞して作家デビューしている。本書はノンジャンルのミステリーの短編集である。  「素敵な圧迫」:蝶野広美は子供の頃から、ちょっとした隙間を見つけるとそこに体を滑り込ませ、抱擁に似た素敵な圧迫を感じるのを楽しんできた。大人になり、一人暮らしを始めた彼女は、間仕切りを取り払った冷蔵庫に入って…

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著者別インデックス:国内(呉勝浩)

1.道徳の時間 (2015.08) 2.白い衝動 (2017.01) 3.スワン (2019.10)   https://smcb.jp/diaries/8211512 4.おれたちの歌をうたえ (2021.02)   https://smcb.jp/diaries/8658445 5.爆弾 (2022.04)   https://smcb.jp/diaries/8871902 6.素敵な圧迫 …

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千四百万人の人質

 呉勝浩の「爆弾」を読了した。著者はミステリー作家で、「道徳の時間」で2015年第61回江戸川乱歩賞を受賞して作家デビューしている。本書は、千四百万人の東京都民を人質とした、無差別爆弾テロの恐怖を描いたサスペンス小説である。  警視庁野方署刑事の等々力功は、酒屋の自動販売機を蹴ったことから酒屋の店員を殴ったため、野方署沼袋交番勤務の矢吹泰斗と倖田沙良に連行されてきた中年の男の取り調べを行う。い…

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栄光の五人組

 呉勝浩の「おれたちの歌をうたえ」を読了した。著者はミステリー作家で、「道徳の時間」で2015年第61回江戸川乱歩賞を受賞して作家デビューしている。本書は、長野県を舞台に、43年前の未解決事件の謎を追う元刑事の執念の行動を描いた、昭和から令和にまたがる大河ミステリーである。  物語の舞台は令和元年である。本書の主人公で還暦を目前にした河辺久則は、元警視庁捜査一課の刑事であったが、正義感から発した…

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白鳥と黒鳥

 呉勝浩の「スワン」を読了した。著者はミステリー作家で、「道徳の時間」で2015年第61回江戸川乱歩賞を受賞して作家デビューしている。本書は、首都圏の巨大ショッピングモールで発生した無差別殺人事件で生き残った一人の少女を巡る謎を描いたミステリーである。  4月8日の日曜日、丹羽佑月(ヴァン)、中井順(サント)、大竹安和(ガス)の三人は、埼玉県東部の湖名川市にあるショッピングモール「湖名川シティガ…