春満月美しとの電話二人より 　田中藤穂 　食堂が夫のアトリエ窓若葉　 芦川まり 　風若葉よりほぐれゆく緑かな 　稲畑汀子 　三猿に艶めく日差し樟若葉　 木下節子 　若葉なす崖のスロープ風薫る　　　アロマ 　若葉風原稿一気に仕上げたる　 杉山みゆき 　夕風呂の窓にひしめく若葉色 　小林幸子 　格子戸は光の匠若葉風 　小澤克己 　千年の木漏れ日ゆるる楠若葉　 林敬…

　秋宵や高野の坊の胡麻豆腐　 長谷川翠 　秋宵や水平線の薄明 　小林美登里 　親よりも子の影長し秋の宵 　溝測弘志 　銀座湯に倶利伽羅紋紋秋の宵　 篠田純子 　秋の宵公孫樹の横に金星が　アロマ 　屋形船の献立かはり秋の宵 　森岡陽子 　銭湯は同じ世代で秋の宵 　渡邉京子 　飛行機のあかり点滅秋の宵 　岡野安雅 　乾杯のシャンパン高し秋の宵 　水原春郎 　秋…

　還暦にリラの風ある朝かな　 片岡久美子 　ふわふわの昼のオムレツリラの花　 福島悠紀 　バースデー紅茶にマフィンリラの花　　アロマ 　リラの花ワッフル旨き喫茶店 　中田寿子 　底冷の浅間の裾の湯屋ひらく　 矢島渚男 船のやうに 　クロッカスの花に冷たき風のあり 　中川 民子 　山中に底冷えの湖一つ置く 　松村蒼石 雪 　底冷えの夕暮蟹を売り残し 　中村里子 　底冷え…