「いけない」の日記一覧

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体験型ミステリー

 道尾秀介の「いけないⅡ」を読了した。著者はミステリー出身の直木賞作家であり、直木賞受賞前後から「脱ミステリー」を目指していると言われていたが、最近はミステリーに回帰している様である。本書は三年前に刊行された「いけない」同様、体験型ミステリーの連作短編集であるが、ストーリー的には前作との繋がりは存在しない。  第一章「明神の滝に祈ってはいけない」:本章は二人の視点人物の観点で描かれている。冬牡…

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天恵の一句

ペリカンが水噛みこぼす溽暑かな 天高しブックカーバーは紀伊國屋 ゆるやかに簾を通す寺の風 山の辺の夕日ぬるき虫送り 焦げ臭くきまで麦秋村晴るる

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猫はかすがい!

テレビを見る気にもならない。 何か食べたい気にもならない。 本を読む気にもならない。 クリスマスイリュージョンを見ても綺麗だとおもわない。 お正月が来ても、妻の手作りのおせちは食べれない。 妻の洋服、靴、スリッパ、歯ブラシ、櫛、マフラー、 はできるだけ見ないようにしている。 食べる物は一杯ある。 妻がまだ元気な時に買い貯めしてくれたのだ。 妻の声が聞こえる。 パパお願いだから食…

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取り違えられた手紙

 道尾秀介の「いけない」を読了した。著者はミステリー出身の直木賞作家であり、直木賞受賞前後から「脱ミステリー」を目指していると言われていたが、最近はミステリーに回帰している様である。本書は、架空の町である蝦蟇倉市で起こった、複数の謎の殺人事件を描いた連作ミステリーである。  「弓投げの崖を見てはいけない」:蝦蟇倉市とその北にある白沢市を結ぶ白蝦蟇シーラインを南下する時、左手に現れる自殺の名所の弓…