樹々の風聴かむとたたむ秋日傘　　伊藤奈津 　木洩れ日を乗せてくるりと秋日傘 　浜田久美子 　カットワーク日差し爽やか秋日傘　　アロマ 　人右往左往東京駅師走 森澤とほる 　東京は光の巨人冬暮色 須賀敏子 　初蝶と同じ生れの東京都 神蔵器 　寒満月大東京をてのひらに 神蔵器 　東京秋晴北海道まで見えるやう 佐藤喜孝 　東京は嘘と言ひたき涼…

　蕪大根漬けて日昏れの酔心地　 武居 愛 　蕪白く沢庵黄なり春夕　 会津八一 　冬めくやパスタに牡蛎のバター和え　アロマ 　冬兆す何か必死に山の音　 加藤楸邨 　化野に濡れて冬めく仏たち 　高橋三松 　山あれば山を見飽かず冬めける 　有働亨 汐路 　月が出て濤が冬めく声を出す 飯田龍太 　枝葉鳴るあした夕べに冬めきぬ 　室積徂春 　噴煙の南へ傾ぎ冬めける　 河合 甲南 …

　年頃のおなじか海苔を掻くひとと 　山仲英子 　傾ぐほど桶を引きずる海苔掻女 　山城やえ 　さざ波に囲はれてゐる海苔掻女 　前田陶代子 　岩海苔の香りほのかや波の音　 宇治重郎 　青海苔掻く四万十日和の女子衆 　妹尾貞雪 　塩汁に岩海苔さっとくぐらせて　 中川句寿夫 　引き腰は波の備へと海苔掻女 　岡村清美 　有明の朝日傾け海苔を掻く 　稲畑廣太郎 　おむすび…