吹きわたる風の刹那や稲の花 冨松寛子 ひたち野の朝風かろし稲の花 木山白洋 稲の花夕日は明日へ還るため 大畑善昭 ささめきのやうに星降る稲の花 多田ユリ子 稲咲いて田を吹く風のゆるやかに 南うみを 稲の花雄蕊を出して穎(えい)を閉じ アロマ 雲流れ真昼静かや稲の花 浅田セツ子 登り窯寂れ棚田の稲の花 古川しげ子 稲の花古墳の風の…
源流は其処で終つて春の暮 永田耕衣 白粉の花が其処には咲いてゐて 京極杞陽 春めいてそこまでと言い漫ろ行く アロマ 辛夷咲く其処が明るく甍の間 田川飛旅子 牡蠣筏其処に沈めて風青し 林原耒井 蜩 餅腹を空かさんそこらまで散歩 木内悠起子 その辺のもの音たてて喜雨となり 頓所八重子 苔寺を出てその辺の秋の暮 高浜虚子 草の枯るるにみそつちよ来…
夕餉はお豆腐 ホッケ生干し 胡瓜茄子の漬物 この暑さ草いきれにも思ひ出湧く 殿村莵絲子 おだやかに戻る暑さや稲の花 木下夕爾 この暑さ町に看板ごてごてある 鈴木しづ子 けふよりは秋と言ふ日の暑さかな 小林康治 『虚實』 やや気温下がって暑いと感じる日 アロマ この暑さ記憶の底の終戦日 山本静子 夕暑し花屋は水が飛ぶ井戸辺 大井雅人 龍岡村 奈…
いさぎよき今日の暑さに川開 幸喜美 いちめんに菱取舟や潟暑し 高野素十 梅雨明けず気温湿度共に高し アロマ うなぎ屋のうの字延びきる暑さかな 川合 正男 のしかゝる如き暑さに立ち向ふ 星野立子 おだやかに戻る暑さや稲の花 木下夕爾 ゴンドラを乗り捨て暑き山の駅 雨滴集 星野麥丘人 らつきよ壺のぞきなどして暑さ急 細見綾子 わが村は暑気涼気谷欅より…