自転車のベル小ざかしき路地薄暑 永井龍男 自転車のほつほつとほる露すずし 瀧春一 菜園 自転車のみな横倒し夏木立 山田弘子 初期作品 自転車の神父色なき風に乗る 佐川光 軽井沢娘とタンデムに乗り アロマ 自転車は遠き夏木に停め来しと 依光陽子 自転車をかつぎひよいひよい風の峠 鈴木石夫 自転車を一家乗り捨て磯遊 上野泰 自転車を降りて仰ぎぬ桐…
秋立ちし日のピアノ音佳き隣人 伊丹三樹彦 十指乱舞す千金の夜のピアノ 林 翔 十六夜や自動ピアノが感知せり 鏡 茂子 春の雪ピアノの蓋に映りては 飴山實 春の鬱深きピアノの頭蓋閉づ 馬場駿吉 春遠しピアノの椅子に帽子置き 加倉井秋を 『午後の窓』 春月の雫ピアノの二重奏 大谷 茂 春愁や自動ピアノの音扁平 須佐薫子 手をふれてピアノつめたき五月…
いとほしき児の寐汗や枕蚊帳 松下紫人 いねゐつつをさなき指汗の髪掻く 篠原梵 いま山頂に汗よろこびて看護婦達 飯田龍太 麓の人 うすうすと晩夏の髭の汗ばめる 原裕 葦牙 うらゝかに汗かく耳のうしろかな 久保田万太郎 草の丈 おもしろう汗のしみたる浴衣かな 一茶 お面かぶりつとめし汗を悦べり 荒井正隆 かえり来て汗の衣ぐるみ妻の前 石橋辰之助 かかず…