吸血鬼ですが、何か? 第12部 黎明編 42 最終回
栞菜とリリーが軽やかに踊りながら花束を掲げる大将に近寄り、レディのようにお辞儀をして花束を受け取った。 栞菜もリリーも制服の胸に1輪づつ赤いバラを差している。 栞菜とリリーが交互にバラの花束を手渡しながら軽やかに踊る。 その間圭子さん達が歌っている。 「赤いバラの花束~!希望が集まった106本の花束~! 私達の希望の赤いバラ~!ジンコの元に~!ジンコの元に~!」 …
栞菜とリリーが軽やかに踊りながら花束を掲げる大将に近寄り、レディのようにお辞儀をして花束を受け取った。 栞菜もリリーも制服の胸に1輪づつ赤いバラを差している。 栞菜とリリーが交互にバラの花束を手渡しながら軽やかに踊る。 その間圭子さん達が歌っている。 「赤いバラの花束~!希望が集まった106本の花束~! 私達の希望の赤いバラ~!ジンコの元に~!ジンコの元に~!」 …
俺とユキは手を繋いで隣の敷地まで来た。 あの巨石のエリアに入る為には武装をしていてはいけないと言う事で俺達は小さな武器置き場を作ってある。 俺はそこに入り、SIGとナイフを置いた。 「あ、彩斗、私も。」 そう言ってユキもジャケットをめくって脇に吊ったSIGと腰の小雀ナイフを置いた。 「ユキも武装してたんだ。」 「当たり前でしょ? 彩斗達に留守を任されてたんだよ…
「ところで彩斗さ…。」 真鈴が集合場所に戻りながら俺に尋ねた。 「え?なに?」 「凛のさぁ…パンティー…拾った?」 「パ…いや、俺は拾ってないよ。」 前を歩く凛が笑顔で振り返った。 「ああ、パンティーですか? こんな事もあろうかと私履いていなかったですよ。」 「え?」 「え?」 「変化する時に走りながらパンティー脱いでいたら時間のロスじゃないですか。 …
俺達は装備のチェックをし、岩井テレサに処理班の出動待機を頼み、俺、四郎、明石、喜朗おじ、真鈴、栞菜、クラと凛夫婦、応援のリリーと美々と小三郎達と車に分乗し、スケベヲタクファンタースマ軍団から選抜した12名のファンタースマが車にしがみ付いて死霊屋敷を出発した。 何かあった時に死霊屋敷を守るための留守番のジンコと圭子さんとはなちゃん、そして、『みーちゃん』が終わって死霊屋敷に帰ってきた…
暖炉の間に集まった俺達は何故か皆、声を潜めて話した。 明石が俺達の顔を見回していった。 「良いか皆、ユキはまだあのテレビのニュース映像は見てはいないがいずれ気が付くだろう。 顔面にモザイクが入っていても、ユキならあのSIG使いがおもらし小僧の彩斗だと判ってしまうと思う。」 皆がうんうんと頷いた。 明石が続けた。 「そして彩斗が宝石店に出入りしたと言う事はだ、いく…
俺は都心にディフェンダーを走らせながら、新しいSIGの吊り心地に満足した。 成る程新素材を導入したから軽いな。 精度は先ほどの試射で折り紙付きだ。 現にジンコが1秒ちょっと全弾速射で20メートル先のターゲットにワンホールで弾着を集めていた。 銀座の老舗宝石店に行き、店員から結婚指輪と婚約指輪の説明を聞いた。 結婚後も結婚指輪と婚約指輪を重ねてはめておしゃれを楽しめると言う事で、…
ユキが帰って来て暖炉の間にいた俺と真鈴を見た。 「ただいま~、なんか楽しそうね~。」 「あ、ユキお帰り~! 今彩斗と思い出話をしていたところなんだ~!」 真鈴が笑顔でユキを見た。 「え~思い出話か~私も聞きたかったな~!」 「ユキもこっちで一緒に飲もうよ。 彩斗の色々な話を教えてあげる~!」 「え~!聞きたい聞きたい!」 ユキが俺の隣に座り、真鈴が新…
ジンコと俺はそれぞれの部屋に戻った。 そして俺は部屋に入るなり、素っ裸になってユキの帰りを待った。 やがて入り口ゲートが開く音が、そして、タクシーが入って来てユキが降り、階段を上がってくる気配がした。 俺はユキが部屋の前を通る時に勢い良くドアを開けた。 「ああ、彩斗、びっくりしたよ~。 今日はお酒飲んだからタクシーで帰って来たから明日は彩斗が…何故に裸なの?」 俺はユキに答…
「ひゃぁあああ! 彩斗!やばいよ! それを割ったらヤバいよ~! 景行に殺されるよ~!」 俺が落として割ったコーヒーカップを見てジンコが悲鳴を上げた。 足元を見た俺も顔から血の気が引いた。 俺が落として割ったコーヒーカップ、それは司が丹念に作った明石の為のコーヒーカップだった。 「う…う…うわぁああああ! やばいやばいやばい! 景行に殺される~! …
夕食を済ませ、真鈴と栞菜以外のメンバーで夜のトレーニングを終えた俺達は暖炉の間で寛いでいた。 ジンコが髪をバッサリと切りショートカットにした事は『ひだまり』でもかなりの話題になったようで。若い客達はジンコの新しい髪型を好意的に迎えられ、やはりお年寄りの女性客達はジンコが失恋したのかと心配したそうだ。 今ジンコは明日の『ひだまり』眼鏡ちゃんキャンペーン用の伊達眼鏡をかけて、…
俺が暖炉の間に行くと、ミヒャエルの歌が聞こえて来た。 1週間泊まり込みで訓練をし、昨日夜遅くに帰ってきたジンコがソファに横たわり、明石が録音したミヒャエルの歌声をオープンリールデッキで再生してうっとりと聞きながら目を閉じていた。 やれやれジンコは凄く草臥れて帰って来たからな。 ミヒャエルの歌で疲れが取れれば良いなと思っていたら、はなちゃんがよちよちとソファに忍び寄り、ジンコの髪を数…
榊は続けて俺達に説明をした。 「藤岡の組織の急襲のおかげで、色々な証拠が手つかずに残ったんだ。 あの突然の襲撃であいつらも処分する暇も無かっただろうな。 おかげで…と言って良い物かどうか、あの謎の集団の名が判った。 そしてその目的もね。」 「…。」 「あいつらの名称は『コンキスタドレス』スペイン語で『制覇する者』という意味だ。 奴らは、日本に上陸してその勢力を伸ばそうと…
その後、俺達は平静を保ちつつも侵入者の襲撃に気を配りながら過ごした。 明石は、ガレージ地下に岩井テレサの邸宅から持ち帰ったオープンリールデッキなどの設置にとりかかった。 「彩斗、油断禁物だ。 何かあったらすぐに俺を呼べよ。 そしてとくに遊びに来ている子供達から目を離すな。 設置が終わったら俺もすぐ警戒に着くからな。」 やはり明石のマニアの血はこんな時でも抑えられない…
その後、俺と明石はオープンリールテープや関連機材を置いてある部屋に入り。 明石はああ!とか、おお!とか声を上げながら色々な機材を穴が開く程見つめたり手に取ったりと大騒ぎで、岩井テレサと初枝にくすくすと笑われていた。 「もう、私の孫はこの存在さえ忘れてしまっているから好きな物を持って帰って良いわよ。 ミヒャエルの歌を奇麗に録音してくれたらこの機材も役に立つと言うものよ。」 …
夜遅く、ユキがタクシーで帰って来た。 もうベッドに入っていた俺はユキの部屋に行き、渡したSIGと小雀ナイフをちゃんと持って帰ったか調べた。 「彩斗、この小雀ナイフは返そうか? 愛用していたんでしょ?」 ユキは心配そうに言った。 「いや、ユキ、大丈夫だよ。 四郎の棺から新しいナイフを貰ったからね。 少し小振りのボウイ―ナイフだけど、こっちの方が威力があるからさ。 …
その時、鐘楼のチャイムが鳴った。 入り口ゲートに俺とユキ。クラと凛夫婦の家を建てる作業の車がやって来た。 「やれやれ、昨日が休工日で良かったな。 彼らが作業していたらもっと死人が出ただろうな。」 明石が鐘楼のスイッチを押して入り口ゲートが開き、作業の車が入って来た。 その後、俺と明石は建築工事を時々見ながら書類仕事をしていると、岩井テレサから連絡があった、午後遅くにショッ…
俺はまだ少し頭痛が残るまま、ダイニングに行って皆と朝食をとった。 真鈴もぼさぼさの髪でのろのろと食事をしていた。 「みんな、今朝はトレーニングできなくてごめん。」 「わたしもごめんなさい。」 俺と真鈴は小声で謝った。 皆は苦笑を浮かべながらたまにはああいう事もあるよね、と言ってくれた。 食事が終わり、食器を片付けて洗っている時に四郎が俺に声をかけた。 「彩斗、屋敷の補強…
「うぇええええ~! そんな塩田みたいな下種野郎がショッカー対策班の幹部なの~? なんか…最低。」 『みーちゃん』で酒を飲みながら俺の説明を聞いた真鈴が呆れた声を上げた。 『みーちゃん』はそこそこ賑わっていて、守護神お時さんの御利益なのか、穏やかで優しい良いお客ばかりで和やかな雰囲気だった。 お時さんはニコニコしながら上機嫌で店内を飛び回っていた。 『紅』の美佐子ママもカウ…
「彩斗、司と忍は『ひだまり』に入るはずよ。 圭子さんに迎えに行ってあげてと伝えて。」 リリーが四郎から貰い煙草をして煙を噴き出しながら言った。 「後続の警官隊が突入するのを止めた時にもし司と忍が屋敷に戻って来ようとしたら『ひだまり』に連れて行ってと頼んでおいたわよ。 警視正の身分証を持ってて良かったわ。 この服じゃ…警官もすぐに頼みを聞かずに何が何だかわからずに質問の嵐だ…