小さい青

駅前の歩道にはタイルが敷き詰めてある。
その継ぎ目が少し窪んでいるところがある。
その窪みに土埃が溜まる。
今頃になるとどこから飛んでくるのか、そのわずかな土埃に根を張る小さな小さな双葉が窪ぼみにそって出て来る。
多くの人はそのけなげな植物のことなど気にもかけず通り過ぎていく。自分は杖を突いて転ばぬように下を確かめながら歩いているから、その緑は鮮烈に目に焼き付く。ああ春が来たのだなあという感慨がひとしお心を揺さぶる。
これから図書館の庭や川の土手には小さな紫色のオオイヌノフグリの群落がキラキラと目を楽しませてくれる。
多年草ばかりでなく、目に見えないばい