千野隆司の作品は味がある。

ほとんどが文庫本の書下ろしなので、図書館ではなかなか手にすることができないのが残念です。そんな中でかろうじて手にできているのが「南町同心早瀬惣十郎捕物控」です。

捕物帳の形式からいうと安易な短編連作のスタイルはとっていません。1冊1話のスタイルです。また、捕物帳の三種の神器といわれる印籠のようなものは出てきませんし、腕利きの岡っ引きもいません。剣の腕もそれほど強いわけではありません。

読ませるもの、やはりなんといってもストーリー性でしょうね。それと主人公の惣十郎の人としての心模様。このあたりがお薦めでしょう。

定廻り同心の惣十郎は、妻の琴江と8年連