夢枕獏『大江戸釣客伝』上下、講談社

ソババッケさんが何処かにチラリと書いていたようですが、非常に面白い本でした。

実はこの本を読む前に、この本の種本とも言うべき津軽采女の何羨録(かせんろく)について書かれた長辻象平の『江戸釣魚大全』(平凡社)を読んでいました。こちらの本は本当に何羨録の絵解きのような本で、釣に興味が無ければそれ程面白い本ではなかったのですが、『大江戸釣客伝』のほうは釣には殆ど興味の無い、時代小説好きには中々の物だと思います。

宝井其角、英一蝶、紀伊国屋文左衛門、水戸光圀、吉良上野介などが適当に絡み合い、綱吉の発した生類憐みの令にまつわる話し、当時の江戸の人々の反応等が結