松井今朝子の「並木拍子郎シリーズ」は芝居町が舞台。

2001年5月にスタートした「並木拍子郎種取帳シリーズ」も、今回の「四文屋」で4作目になります。しかも今度は、最初から文庫本で出版されました。作者はこの間にも次々と作品を出していて、「吉原手引草」で直木賞をも受賞しました。

彼女の専門は何といっても江戸の芝居事情にあろうかと思います。歌舞伎のことを語らせたら、おそらく彼女の右に出る作家はいないでしょう。

この物語は、芝居町を舞台とした一種の捕物帳ですが、作者の専門である芝居の世界を詳しく語ってくれます。そしてもう一つの特徴は、料理茶屋の娘・おあさのつくってくれる料理にあるでしょう。

時代は1810年