あさのあつこ の 「鬼を待つ」 弥勒シリーズ9

弥勒シリーズも9作目となった。今回は久しぶりに遠野屋清之介の出身である嵯波藩がらみの事件が江戸で起こる。嵯波の闇の男・源庵を「清之介の妻・おりんを死に至らしめ、信次郎に片腕を落とされた」と記してある。

13年を経過しその経緯を全く忘れ去っていることに気付き焦ったが、この際、最初の「弥勒の月」を再読して信次郎と清之介のキャラ設定の源を探ってみることにした。

《伊佐治と木暮信次郎》
伊佐治が信次郎の父・小暮右衛門から手札をもらったのが、20歳の時。それから20年以上を尾上町の親分として通してきた。10年前にその右衛門が鉄砲洲稲荷の前で心の臓の発作で息を引