阿部暁子 の 室町繚乱、室町期のお薦め時代小説

「室町繚乱」は、ここのメンバーのスバルさんに紹介いただいた作品です。大変面白かったですね。阿部暁子は1985年生まれのこれからが楽しみな作家です。このわかり難い時代によくぞ取り組んでくれました。

後村上帝(南朝の後醍醐帝の後継)の娘・13歳の透子の目で、帝の亡きあとの一時期を切り取り、南北朝の対立構造を描いて見せます。18歳で日野業子を正室に迎えたばかりの足利義満、父の観阿弥に厳しい稽古を課せられる鬼夜叉(後の世阿弥)などを登場させ、コミカルな展開として読者を飽きさせません。また、管領の細川頼之と元管領の斯波義将との幕府内の権力闘争などにも触れています