西條奈加の「曲亭の家」と群ようこの「馬琴の嫁」

「馬琴の嫁」が出版されてから15年になりますが、いずれも滝沢家に嫁いだ路(みち)の物語で、甲乙つけがたいいい作品です。読み比べてみてください。

61歳の舅・馬琴、3歳年上の姑・百、31歳の夫・宗伯、この3人ともが病弱で、いつも誰かが寝付いています。百と宗伯の母子は癇癪持ちですぐに切れ、馬琴は金銭に細かく毎日小言をいう。とても耐えられるものではありません。

馬琴は頑固、偏屈、傲慢、吝嗇など個性の強い代表選手のようで、女流作家からは滑稽さをもってその餌食とされてしまいます。
高田郁の「みをつくし料理帖」では口の悪い戯作者・清右衛門として登場しました。朝井