永井紗耶子の「木挽町のあだ討ち」は群像劇風の尋問ミステリー

やっと地元の図書館に入庫(五刷)し読むことができました。噂通りの面白い作品で、タイトルが「仇討ち」ではなく「あだ討ち」となっているのもいいですね。

木挽町といえば江戸3座の1つである森田座のあるところ。「木挽町の仇討」は芝居小屋の裏手で実際にあった話とされ、16歳の菊之助が仇の作兵衛を討った話とされています。ところが2年後、その話が聞きたいと参勤交代で出府した菊之助の友という18歳の武士が現れます。

そして森田座の裏方を務める男たちに次々と聞き取りを行っていきます。木戸芸者の一八、立師の与三郎、衣装の芳澤ほたる、小道具の久蔵、戯作者の篠田金治らの5人