吉村 昭が「日本医家伝」に取り上げた12人の医家

昨年(2023年8月)新装出版された「日本医家伝」は、製薬会社のPR季刊雑誌「クレアタ」に昭和43年頃から3年間連載されたものをまとめた短編集で、いずれも江戸時代中期から明治初期にかけて活躍した12人の医家の生涯が綴られています。このことが、作者の後の作品に大きな影響を与えたようで、これを元とした多くの傑作が生まれました。

この作者の特徴は、史伝的小説に徹していることで、不遇な晩年であったり、金銭欲の強い主人公だったりという、普通の作家が触れたくない部分も描いていることでしょう。

1 山脇東洋 日本で初めて腑分を実見した医家
2 前野良沢 「解体