華岡青洲以後の麻酔手術を描く 青山文平の「父がしたこと」

久しぶりの一気読みです。華岡青洲の話は有名でも、それ以後の話はほとんど取り上げられません。青山文平は他の作家が取り上げないような興味深い内容に特化しているように思います。

時代は天保13年(1842年)で、前年には渡辺崋山が鳥居耀蔵による蛮社の獄で自刃し、高野長英は入牢しています。蘭学は厳しい排撃を受けていますが、蘭方医だけはその先進性からかろうじて見逃されている状態です。

舞台は老中を出せるような譜代の藩の国許です。長い間、痔瘻で苦しむ藩主が地元の蘭方医の手術を受けることを決断します。執刀するのは向坂清庵という蘭方医。華岡青洲を継承し発展させたのが