鬼の話。鬼とされた古代産鉄氏族の謎

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 本殿の裏手から続く長い回廊を歩くと、右手に重い空気を漂わせた釜殿が佇んでいた。温羅(うら)の首はこの釜殿の下に埋められたとされる。そして、13年に亙り、唸り続けたという。古代吉備の統治、温羅は鬼であったという。


 吉備の中山と呼ばれる小山はいかにもその平野の神奈備といった風情で、大きく根張りを広げていた。その山裾で吉備の鎮守、吉備津神社は広大な神域を誇る。吉備津造りと呼ばれる重厚な本殿は室町中期、足利義満の造営にて国宝ともされる。
 吉備津神社の祭神、吉備津彦命は「温羅(うら)」を討伐して吉備を平定したという。温羅は渡来人であり、吉備に製鉄を