見識を持つ奈良時代の政治家、そして現代。…素浪人の『万葉集漫談』(136)

(136) ぬばたまの 黒髪変り 白けても
        痛き恋には 逢ふ時ありけり
          巻四・573 沙弥満誓(さみまんせい)
大意: 黒髪が白髪に変わるほど生き長らえる人生では、このように苦しまねばならぬほど、激しい恋心におちる時があるのですね

解説:大納言となって、都に帰る大伴旅人を見送る別れの歌です。恋は異性間のものと思われがちですが、ここは上司との惜別です。満誓(造筑紫観世音寺別当)他、大宰府の官人の多くと別れを惜しむ歌が交わされています。

こうして目出度く都へ帰任した旅人でしたが、翌731(天平3)年6月、67歳で亡くな