俳句鑑賞

ネット上の俳句趣味のコミュニティで見つけた無名の人の句です。

紀ノ川や老犬春をまたず逝く

まず「紀ノ川や」と大きく広く出たところがとてもいいなと思います。
そして作者の身近な出来事を感情を交えずぶつけています。
作者は紀ノ川の側に住んでいるのでしょう。
毎日のように犬を連れて紀ノ川沿いに散歩していたでしょう。
その犬が年取り、春を待たずに逝ってしまった。
目の前に冬枯れの紀ノ川が広がり、
犬と過ごした長い思い出が次々湧いては消えてゆく。
川の名が紀ノ川というのがドンピシャです。
紀ノ川は、有吉佐和子の小説の名にもあり、
高野山や吉野山や粉川寺や妹山背