朝の光の中で・・・

辺りがまだ明けきらぬ、曲がりくねった坂道を上り朝日の見える北山の高台に到着した時には6時を過ぎていた。まだ、誰も居来ていない、見下ろす眼下の海原の向こうに漁り火がぼんやりと波に揺れていた。しばらくして1台の車が止まった、マフラから吐き出す排気ガスが白くて冷え切った外気が寒々しく感じられ車外に出る気には誰もならない。撮影の準備が出来た時には、周りに数名のカメラマンが東の空をじっと見詰めていた。やがて海の彼方の山の谷間あたりの空が赤く焼け始め朝日が顔を出す。「わー、綺麗だー」と歓声が上がる。見る見る内に朝日は高く上り空を赤く染め、海に光を落として海原を黄金色