イスラム圏の飲酒事情

高野秀行の「イスラム飲酒紀行」を読了した。著者は、早稲田大学探検部出身のルポライターで、「誰も行かないところへ行き、誰もやらないことをして、それを面白おかしく書く。 」をモットーとする、自称「辺境作家」だそうだ。本書は、公的には飲酒が禁止されているイスラム圏に、著者自身が出かけて行き、酒を求めて悪戦苦闘した体験記である。
 本書の大多数の章は、「私は酒飲みである。休肝日はまだない。」との言葉で始まる。著者は別に、飲酒事情の調査を目的としてイスラム諸国を訪れている訳ではない。ルポを書くために訪れた国々で、食事に1杯の酒を求め、已むに已まれず彷徨しているので