幻想録 「同行三人旅」

死出の旅、と浮かんだ。

 クーラーの冷気がそよ風のようで、アルミのカップから冷たいミネラルウォーターを一口飲んで、回転椅子に背を凭せた時に。

 今夏、ついに私たち(弘法さんを入れると三人)が決意したことは、五十%の確率で愚かな我儘と非難され、息子からは恨まれるであろう。
 一種の自死である。自死とは死の時刻が決まっているという希有の結末である。

 私たち夫婦の生活は、とっくに社会からはずれたところにあるが、それでも自宅以外にも少々の影響範囲が広がっている。
 小さな変更を起こすことすら、勇気が要るというのに、まして使い慣れないカードで旅費宿泊費だけ