世界は海、言葉は舟 映画「舟を編む」

夏の映画月間四作目は「舟を編む」、原作は三浦しをんの小説である。

何十万語も収録した辞書をつくるというのは、考えただけで気の遠くなるような作業である。15年かかって新時代の新しい辞書をつくった出版社編集部のお話。

無人島に一冊だけ本を持って行くとしたら辞書と答える人がいる。なるほど、どんな面白い本でも無人島で何十回何百回も読めると思えない。何十万語もある辞書なら、喜怒哀楽聖俗森羅万象、この世界と人間に関わる無数の言葉が詰まっている。言葉は大海に浮かぶ無数の舟である。ひとつの言葉だけでも色んな意味がありイマジネーションが広がり、孤島での無聊が慰められそ